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【ビギナーズシリーズ】勢いのある109系ブランドを学んでみよう

109系とは、言うまでもなく渋谷のファッションビル「SHIBUYA109」に入っているようなファッションブランドのこと。サラッと略してマルキュー系なんて呼ばれることも。どんなブランドかといえば、Avan Lily(アヴァンリリィ)ALBUM(アルブム)EGOIST(エゴイスト)EMODA(エモダ)GARULA(ガルラ)GLAD NEWS(グラッドニュース)3rd by VANQUISH(サード バイ ヴァンキッシュ)GYDA(ジェイダ)SPINNS(スピンズ)SLY(スライ)CECIL McBEE(セシルマクビー)dazzlin(ダズリン)DaTuRa(ダチュラ)DURAS(デュラス)Neon Soda(ネオンソーダ)Pinky Girls(ピンキーガールズ)moussy(マウジー)MIIA(ミーア)Lagunamoon(ラグナムーン)rienda(リエンダ)LIZ LISA(リズ リサ)RESEXXY(リゼクシー)LIP SERVICE(リップ サービス)repipi armario(レピピ アルマリオ)ROJITA(ロジータ)RODEO CROWNS(ロデオ クラウンズ)One Way(ワンウェイ)、等々~(※五十音順・思い出したものだけ)~・・・と、いわゆるGAL雑誌の代表格である『egg』とか『Popteen』だけでなく、正統派(!?)の『CanCam』や『JJ』、カジュアル風味な『Zipper』にだって登場しており、もはや「GALブランド」とひとくくりにするのはナンセンスすぎる確固たる独自ジャンルとなっています、何がですかって?えーっと、109系スタイルってやつがでございます。

思えば、そもそもSHIBUYA109って、1979年の開業当初は20代~30代のOL・キャリア層向けに誕生した婦人服の専門百貨店でして、当時のネーミングは「ファッションコミュニティ109」という何とも昭和な雰囲気を醸し出していました。ちなみに「109」は運営会社の「東急(トー・キュー)」に由来していて、am10時開店→pm9時閉店って意味も兼ねて、それがちょっとダブルミーニングでイケテルぜ、ナウいぜ、イェイ♪って話でしたとさ。大変身したのは、1990年代に入ってから。90年代は「渋谷系」っていう若者たちが渋谷を占拠し、ピチカート・ファイブやフリッパーズ・ギターを聞き、ハードコア・パンクやアシッドジャズのレコード&CDをタワーレコードやHMVに買いに来たり、ダボダボの古着を求めて彷徨っていたり、彼らの遊びといったらプリクラかカラオケかケンカでした。原宿ではロカビリーを踊っている人が中心でしたが、渋谷ではチーマーやコギャルなる人種が闊歩していました。そして、小室ミュージックが流れる頃には、若者はみんなサーファーになりました。彼・彼女たちは本家のサーファーから「陸(おか)サーファー」と呼ばれていました。このトロピカルなスタイルが渋谷系GALの源流です。

話がそれまくりましたが、1994年、ものすごいブランドが誕生しました。109系ファッションのパイオニア的存在であり、GALたちに今尚絶大な人気を誇る「エゴイスト」です。このブランドの何がすごいかって、いや正直すぎるストレートなネーミングセンスもすごいんですが、最盛期は1ヵ月で1億円以上も売るという奇跡の販売力。人気の秘密は、おそらく「カリスマ店員」という新カテゴリを上手く利用したからではないでしょうか。カリスマ店員からは「マウジー」(by森本容子氏)などの新ブランドが立ち上がり、相乗効果によって109系ブランドは急速に知名度を高めていきます。とにかく「カリスマ」が流行っていた時代でした。TV内では料理の鉄人たちやカリスマ美容師たちが腕を競い、裏原宿ではカリスマデザイナーたちが独自ブランドを生み出し、世の中には「会いにいけるカリスマ」が続々と生まれていました。トレンドリーダーやファッションリーダーたちが、街の中、つまり消費者と同じ生活空間から生まれていたのです。そう、後に言う、「ストリート」の時代です。

身近なヒーローという発想は、モーニング娘の「オーディション」でさらに花開き、2013年現在にも受け継がれています。ファッション誌の「読者モデル」しかり。「JJ」の仕掛けた「おしゃP」文化しかり。ステマ大好き「カリスマブロガー」だってしかりでしょう。完成形は「AKB」なのかもしれません。こうした時代の流れを捉え、ファッション業界で決定付けたのは、2005年に設立したブランドプロデュース会社「MARK STYLER(マークスタイラー)」だといわれています。なるほど、たしかにMARK STYLERの展開するブランドはどれも絶大な人気を誇っています。そしていずれのブランドにもアイコン(象徴)となるプロデューサー(orディレクター)がいます。【マーキュリーデュオ】(渡辺由香氏)、【エモダ】(松本恵奈氏)、【ジェイダ】(串戸ユリア氏)、【ムルーア】(荻原桃子氏)、みたいに。どうやらファッション業界のカリスマは、デザイナー→ショップスタッフ→読者モデル→プロデューサーと移り変わっているようです。ただ、これは女性の場合で、男性の場合は、デザイナー(DCブランド)→プロデューサー(裏原宿系)→バイヤー(セレクトショップ)な気がします。あ、レディースもメンズもどこかにスタイリストが入るかもしれません。スタイリストさん、ごめんなさい。いや、べつに謝る必要はないですね。

2005年は奇しくも時を同じくして『東京ガールズコレクション』が始まった年でもあります。一般的なファッションショーと違うのは、「リアルクローズ」をテーマに掲げていること。「リアル(現実的)なクローズ(服)」、要するに例えば世界四大コレクション(パリコレクション、ロンドンコレクション、ミラノコレクション、ニューヨークコレクション)や東京コレクションは芸術的すぎて街中で着れないじゃん、エッジィ(極端)すぎるじゃん、上流階級のセレブパーティー用ではなく、我々庶民がもっと日常のストリートで着られる服でファッションショーしようぜ!ってことなのですね。なので、ランウェイを歩くモデルだって、「Theモデルさん」だけじゃなく、旬なタレントや芸人もいるってわけです。ブランド側が消費者に歩み寄った感じでしょうかね。これはとても先駆的な試みでして、おそらく経済産業省の若手官僚の趣味でスタートしたであろう「クール・ジャパン」(日本のカルチャーを世界へ発信する国家プロジェクト)的にも大賛成!ってことで、外務省や国土交通省、東京都などが後援として応援してくれています。主役のガールズたちにとってはどうでもいいことでしょうけど・・・。

歴史的に見ても、ファッションは貴族のものから大衆のものへ。芸術的なものから日常のものへ。そんな大きな流れがあるようですね。すると、まぁ、なんということでしょう。ファッションはコモディティ化していく道をたどり始めております。コモディティ化とは、日用品のように性能や品質に差がなくなって無個性化・均質化していくことなのですが、その先にあるのは「服はライフスタイルの部品だ」と喝破したユニクロの勝利です。この辺りはさすがとしか言いようがないですよね。それでもポストモダンでさんざん語られてきたように、ファッションの本質は差異の戯れである以上、トレンドは常に再生産されて・・・難しい話はカットしました。すなわち、109系ファッションとは、女の子にとってのリアルクローズなんです、可愛くて、セクシーで、かっこよくて、少女っぽかったり、少年ぽかったり、大人っぽかったり、オシャレで、それでいて安い、そういうブランドなのですね。ちなみに109は渋谷が本拠地ですが、現在は東京(町田)、静岡、金沢(香林坊)、大阪(阿倍野)にも進出しています。地方の人もがっかりするなかれ。公式通販「SHIBUYA109 NET SHOP」もあれば、公式HPで街角スナップのコーディネートもチェックできたりします。すごい。便利な世の中です。それにブランドによっては地方の味方イオンモールに入っていたりもしますよね。って知っているか、そんなこと。

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