まず、スニーカーの源流である「スポーツシューズ(運動靴)」の歴史はローマ時代にさかのぼります。紀元前の古代オリンピックでは、選手はみんな素足で競技を行なってしましたが、3世紀頃の皇帝ディオクレティアヌスが軍靴をランナーの履く靴に決定したという記録が残っているそうです。それから時が流れて、1800年代中頃にゴムの加工法が確立してくると、ゴム底靴の量産が始まりました。さらに1873年にはゴム底靴を「スニーカー」と呼んでいた記録も見つかっています。
1906年には、ギリシアのアテネで第1回近代オリンピックが開催されました。とはいえ当時はまだ皮製のスポーツシューズが主流です。その後もオリンピックは開催されましたが、世界大戦によりイマイチ盛り上がらず、本格的に花開いたのは戦後の1950年代以降となります。そして、アシックスの前身「鬼塚商会」は1949年に誕生したのでした。
オニツカタイガーはアシックスの前身ブランド
スポーツブランドの「アシックス(ASICS)」は知っていても、「オニツカタイガー」って何ぞ?という人は少なくないかもしれません。じつは1977年に社名を「オニツカ」から「アシックス」に変えた際、「オニツカタイガー」というブランドも一時消滅。2000年に若者向けブランドとして復刻しました。まもなくハリウッド映画『Kill Bill(キル・ビル)』(2003年公開)で主人公を演じるユマ・サーマンがオニツカタイガーの復刻シューズ(太極拳シューズ)を履いて話題となっています。ちなみに「ASICS」の語源は、古代ローマの作家ユウェナリスの言葉「Anima (≒Mens) Sana In Corpore Sano(健全なる身体に健全なる精神は宿る)」の頭文字に由来します。なお、ユウェナリスの原文は「Mens(精神)」を使用していますが、アシックスでは「Anima(魂・心)」を採用しているようです。
知られざる創業前夜ストーリー
創業者の鬼塚喜八郎の旧名はもともと「坂口」でした。鬼塚に改名したのは、戦友との約束からです。戦時中、ビルマに向かう戦友が頼みごとをしてきました。「もしオレが帰ってこられなかったら、オレの代わりに神戸に住む身寄りのない老夫婦の面倒を頼む」。終戦後、戦友の死を知った喜八郎は、家族の大反対を押し切って鬼塚姓となり老夫婦を養う決意をしたのです。終戦後、焼け野原となった神戸の町で鬼塚喜八郎が見たのは、闇問屋や不正がはびこり、犯罪が多発する光景でした。なかでもワリを食っていたのは麻薬や売春に手を染めていた若者たちです。「多くの人の死はなんだったのか。これからの日本のために、国家の礎となる次世代の若者に一生を捧げよう」。そう思った鬼塚は、兵庫県の教育委員会の知人を訪ね、体育保険教育とスポーツの素晴らしさを聞く。さらに国産スポーツシューズの開発を依頼されたのでした。
日本初のスポーツシューズブランドとして誕生直後から躍進
チームワークをはじめとするスポーツマンシップの具現化を求め、最初に開発したのがバスケットボールシューズでした。時代は1949年のこと。シューズの土踏まずの部分にトラの顔のイラスト。加えて「onitsuka tiger」の刻印。事実上、これこそが日本初の国産スポーツシューズブランドとなります。1954年には、日本初のマラソンシューズを開発し、それまで「マラソン足袋」を履いていた日本のマラソン界は大転換を迎えました。1956年以降はオリンピック日本選手の公式シューズに採用されるようになります。
そして、伝説へ
1960年のローマオリンピックで、なんと裸足でマラソンの金メダルを獲った選手がいました。その人物こそ、「裸足の王者」の異名を持つエチオピアのアベベ・ビキラ選手です。翌1961年に日本で開催される毎日マラソンに、そのアベベ選手が再び素足で参加することを知った鬼塚喜八郎は、ホテルまで訪問し「日本の道路はガラス片などが落ちていて危ない。軽くて走りやすいシューズを提供するから履いてほしい」と説得したとのこと。大会当日、アベベ選手はオニツカのシューズを履いて走り、優勝しました。さらに1964年の東京オリンピックでは、オニツカのシューズを履いていた選手が次々とメダルに輝き、日本は大いに沸きました(金メダル20個、銀メダル16個、銅メダル10個の計46個)。
【詳細情報】
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■藤井大丸店(京都府京都市下京区寺町通四条下ル貞安前之町605 5F)
■NU茶屋町店(大阪府大阪市北区茶屋町10-12 NU茶屋町 1F)
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■神戸店(兵庫県神戸市中央区京町79 日本ビルヂング 1F)
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