スタイル説明/丸井系
有名ファッションビル「丸井(OIOI)」に入っているブランドのこと。丸井は、従来の百貨店では取り扱っていない「若者」をターゲットにしたブランドだけを集め成功した。つまり、百貨店の高額な一流ブランドではなく、一流ブランドの洗練された雰囲気は残しつつ値段は手ごろ、かつカジュアル量販店のものとは一線を画す『1.5流のブランド』を揃えることで、1980年代のDCブランドブームと共に急成長したのである。国内大手アパレルメーカーを中心とした大資本が仕掛ける『1.5流ブランド』は「POPEYE」や「anan」などファッション雑誌にも盛んに取り上げられ日本の若者たちをおしゃれにした。実際、丸井(およびパルコ)に入るブランド群は、地方都市に住む若者にとって地元で買える最高にイケてるブランドであり、お手本だったといえる。そういう意味でも、丸井は日本のファッション界をリードしてきたといっても過言ではない。なお、日本初のクレジットカードを導入し、「分割でブランドを買う」という文化をヤング層に根付かせたのも丸井だ。
ところが、バブル崩壊によってDCブランドブームが収束し、長い不況がはじまると、丸井やパルコの勢いは落ちてきてしまった。2000年前後には「ITバブル」や、2002年~2007年には「いざなみ景気」といった好景気の時期もあったのだが、その頃は銀座や六本木の超一流ブランド(セレブブーム)やレアなインディーズブランドに注目が集まっており、店舗数も多くステータス感の薄い『1.5流ブランド』&『丸井』は中途半端な感じが否めくなる(ちなみに当時はユニクロでさえ、“安かろう悪かろう”というイメージから抜け出せずにいた)。そして2007年の「サブプライム・ショック」以降は、ユニクロやH&Mのようなファストファッションの一人勝ちとなっていくのだが、高級でも安くもない丸井は中途半端な立ち位置の印象が際立っていくばかりだった。そんな背景の中で、丸井内に店舗を構えるブランド群は“初心者向けの中途半端なファッション=丸井系”と揶揄されるようになっていった。
代表的な丸井系ブランドの特徴は、『細身で、ワンアクセントなデザイン』。特にこの「ワンアクセント」がクセモノで、派手なプリントとか、ポケットが多すぎるパンツとか、飾りの多いとんがり靴だとか、パーカーの上にジャケットをはおるコーディネートとか、モデルが着たらかっこいいのかもしれないが、体型といい、とにかく人を選ぶ着こなしが少なくない。ただ、初心者にはベーシックなものよりも新鮮でかっこよく見えてしまうため、地雷を踏む人が後を立たず、周囲からは「服に着られているやつ」「悪くないんだけどなぜかダサい」「だから丸井系は・・・」という評価になりがちである(なお、レディースはその限りではない。上記のような状況はメンズブランドだけに当てはまる)。
しかし、そんな丸井も、近年は大きく変わりつつある。とりわけ注目すべきは、新宿各館の大リニューアルだろう。従来の丸井系メンズブランドは『新宿マルイメン』に押し込みつつも、別格扱いの「ポール・スミス」を補強するカタチで「バーバリー・ブラックレーベル」や「ブラックバレット・バイ・ニールバレット」といった人気高級ブランドを誘致(とはいえ3ブランドとも日本国内のみ限定販売の特殊なライセンスブランドだが・・・)。さらに『新宿マルイアネックス』には、個性派ファストファッション「イーヴス」や「ユニクロ+J」「コムサスタイル」、ブランド古着の「ラグタグ(古着)」など従来のファッションビルにはお目にかからないテナントが入っている。また、スポーツ専門フロア『フィールドライフ』も素晴らしい。丸井オリジナルブランドとコラボしている「ネクスタイド・エボリューション」のシューズは売切れ必須の超おすすめアイテムなので要チェックである。
【代表的なブランド例】
◎メンズ・ビギ
◎メンズ・メルローズ
◎ルパート
◎abx
◎ジュン・メン
◎アバハウス
◎PPFM
◎ボイコット
◎A.S.M
◎二コルクラブフォーメン