スタイル説明/太陽族
1955年、まだ終戦から10年しか経っていない時期に、戦後若者文化の金字塔となる短編小説が発表された。石原慎太郎氏作の『太陽の季節』である。文学界新人賞と芥川賞に輝いたこの作品は、翌年には早くも映画となって公開され、その物語の世界観は、当時の若者を熱狂させた。憧れのマイカーとヨットを乗り回し、酒と女と博打に明け暮れる無軌道で不道徳な主人公に共感した若者たちは、マイカーとヨットは買えないのでとりあえず置いておいて、アロハ、グラサン、刈上げ慎太郎カットの3拍子でキメ、国鉄や江ノ電に乗って湘南を目指した。こうした若者たちをジャーナリストの大宅壮一氏は『太陽族』と名付ける。太陽族は、慎太郎・裕次郎の石原兄弟をファッションリーダーとして、同年(1956年)公開の映画『処刑の部屋』『狂った果実』(いずれも石原慎太郎作)でさらにヒートアップし、その勢いは1958年頃まで続いた。
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